固定資産の除却仕訳について
シンシステムデザイン
はじめに
固定資産の除却(売却や廃棄)処理は、
- 除却損が生じる場合
- 下取りなど除却益が生じる場合
- さらに国庫補助金がある場合は国庫補助金等特別積立金の取崩の発生など
いくつかのケースがありますのでそれぞれについて説明します。
「らくらく会計」では、上記の仕訳を行なうと、関連する資金収支計算書は同時に自動的に反映できるようにプログラムしています。 期待通りの結果になることを確認してみてください。
廃棄損が生じる場合の仕訳
建物や構築物や備品などの除却は、通常廃棄損が生じる場合が多いと思います。
その場合でもいくらかの売却収入が出る場合や逆に廃棄処分費が発生する場合もあります。
- 売却収入が無い場合の廃棄仕訳
器具及び備品の簿価が100,000の固定資産を処分した。
- 固定資産処分損 100,000 / 器具備品 100,000
- 簿価よりも小さい売却収入があった場合
簿価100,000のコピー機を60,000円で下取りしてもらった。
- 現金預金 60,000 / 器具備品 60,000
- 固定資産処分損 40,000 / 器具備品 40,000
- 廃棄処分費が発生した場合
簿価100,000のパソコンを廃棄するために3,000円の廃棄料が必要になった
- 固定資産処分損 100,000 / 器具備品 100,000
- 雑費 3,000 / 現金預金 3,000
廃棄益が生じる場合の仕訳
車両の買い替え等で、簿価よりも下取り価格が高くなる場合もあります。その場合の仕訳は次のようになります。
- 売却益が出る場合の仕訳
簿価300,000円の車両を400,000円で下取りをしてもらった
- 現金預金 300,000 / 車両 300,000
- 現金預金 100,000 / 固定資産売却益 100,000
- 上記の仕訳例で下取り価格の中にリサイクル預託金30,000がある場合は次のような仕訳になります。
- 現金預金 300,000 / 車両 300,000
- 現金預金 70,000 / 固定資産売却益 70,000
- 現金預金 30,000 / リサイクル預託金 30,000
国庫補助金等積立金がある場合の仕訳
社会福祉法人会計では、”国庫補助金等特別積立金”があります。この積立金の残高がある固定資産を除却する場合は、次のような仕訳になります。
ただし、通常は償却年数をクリアした後での除却が多いと思いますので、その場合は国庫補助金等特別積立金は既に0円まで取り崩していますので、下記のような仕訳は不要です。火災など災害で除却する場合のみの適用になります。
- 簿価30,000,000円、国庫補助金等特別積立金の残高25,000,000円の建物を災害により除却する場合
- 固定資産処分損 30,000,000 / 建物 30,000,000
- 国庫補助金等特別積立金 25,000,000 / 国庫補助金等特別積立金取崩額 25,000,000
注意
この場合の国庫補助金等取崩額は、特別収支の部の科目を使います。
リサイクル預託金の取扱いについて
”リサイクル預託金”は、固定資産となっていますので、車両などを廃棄または、売却した場合は次のような仕訳が必要になります。
- 廃棄した場合の仕訳
- 固定資産処分損 200,000 / 車両 200,000
- 固定資産処分損 30,000 / リサイクル預託金 30,000
- 売却した場合
売約した場合は、”リサイクル預託金”は売却先に移動しますので、次のような仕訳になります。
- 現金預金 200,000 / 車両 200,000
- 現金預金 30,000 / リサイクル預託金 30,000
(注) 上記の例は車両簿価と売却額を同額としていますが、売却益または売却損が発生する場合はそれぞれ必要な仕訳を加えてください。