部門間の固定資産の移動について
シンシステムデザイン
以下の説明は社会福祉法人会計で説明しますが、学校法人会計、公益法人会計についても同様ですので、同じように考えてください。
資産移動の基本的な考え方
- 固定資産は借方科目ですので、これに対応する貸方科目が必ずあります。
- A部門にある資産をB部門に移動させたい場合
A部門の借方を減額すると同時に貸方も同額を減額します。
B部門では、A部門と逆に借方を増額して同時に貸方も同額を増額します。
- 上記を実現するような仕訳を行なうと、部門間の固定資産移動が完結します。
なお、当然のことながら合計処理した貸借対照表は変化はありません。
以下は具体的な事例で説明します。
なお、「らくらく会計」では複合仕訳を行なうと自動的に相手勘定は「資金諸口」になりますので、下記例のように単一仕訳にして仕訳を行なってください。
下記の仕訳は何れも資金収支計算書は変化しません。
国庫補助金等が無い場合
法人の土地などは一般には理事者等の寄付金で受け入れて第一号基本金への組入れを行なっていますので、この土地1000に対応する貸方科目は第一号基本金になっています。
- A部門の仕訳
土地 -1000 / 第一号基本金 -1000
- B部門の仕訳
土地 1000 / 第一号基本金 1000
以上の仕訳です。
この時の財務表は貸借対照表のみ変化します。
国庫補助金等がある場合
建物の場合は国庫補助金等積立金がある場合、これも同時に移動させる必要があります。国庫補助金等積立金の残価格が700、残りの300が第一号基本金であるとします。
- A部門の仕訳
建物 −700 / 国庫補助金等積立金 -700
建物 −300 / 第一号基本金 −300
- B部門の仕訳
建物 700 / 国庫補助金等積立金 700
建物 300 / 第一号基本金 300
この時の財務表も貸借対照表のみ変化します。
国庫補助金、第一号・第二号基本金、借入金がある場合
国庫補助金等残価額が700 借入金が500 第一号基本金が300 第二号基本金が200とします。
1700(建物) = 500(借入金) + 300(第一号基) + 200(第二号基) + 700(国補)
- A部門
建物 −700 / 国庫補助金等積立金 -700
建物 −300 / 第一号基本金 −300
建物 −200 / 第二号基本金 −200
建物 −500 / 借入金 −500
- B部門
建物 700 / 国庫補助金等積立金 700
建物 300 / 第一号基本金 300
建物 200 / 第二号基本金 200
建物 500 / 借入金 500
この時の財務表も貸借対照表のみ変化します。
基本金、積立金が無い場合の資産移動
法人の流動資産で固定資産を取得した物品の移動を考えます。この場合の固定資産に対応する貸方科目は、繰越金になりますので次のような仕訳をしてください。
- A部門の仕訳
器具及び備品 -300 / *非資金諸口* -300
〇〇繰入費用 300 / *非資金諸口* 300
- B部門の仕訳
器具及び備品 300 / *非資金諸口* 300
*非資金諸口* 300 / 〇〇戻入収益 300
- ただし、社会福祉法人の新しい会計基準では、”〇〇区分間固定資産移管費用及び収益”の科目がありますので、次の仕訳だけで移管が出来ます。
A部門の仕訳
区分間固定資産移管費用 300 / 器具及び備品 300
B部門の仕訳
器具及び備品 300 / 区分間固定資産移管収益 300
貸借対照表と損益計算書は変化しますが、資金収支計算書は変化しません。