すぐ始められる複式簿記の仕訳(個人事業)
シンシステムデザイン
複式簿記の仕訳は、次のような基本仕訳を理解することで、すぐ始められます。
売上に関する仕訳
『売上』が発生すると『現金』などの資産が増えます。この場合、資産は借方にありますので左側に、『売上』は貸方科目にありますので、右側に記入します。
- 現金による商品の売上
現金 / 売上 100,000
- 売掛金による商品の売上
売掛金 / 売上 100,000
仕入に関する仕訳
『仕入』があると、その支払いで『現金』などの資産が減少します。あるいは買掛で仕入れた場合は『買掛金』と言う負債が増えます。そこで次のような仕訳をして下さい。
- 現金による仕入
仕入 / 現金 50,000
- 買掛金による仕入
仕入 / 買掛金 50,000
経費に関する仕訳
交通費などの『経費』が発生した場合、経費は借方科目でありますので左側(借方)に「交通費」をおき、またそれに伴なって資産(現金など)は減少しますので右側(貸方)に仕訳ます。
- 現金による経費支出の例
交通費 / 現金 3,000
預金からの引落
光熱水費 / 預金 50,000
- 未払金で支出した場合
修繕費 / 未払金 30,000
- 法定福利費など預り金が発生する場合
法定福利費 / 預り金(社会保険料) 30,000
売掛金や買掛金の解消仕訳
複式簿記は、発生主義による仕訳が原則ですので、「売掛金」「買掛金」などが、発生します。これらは、実際に現金預金で清算した時、これらの取引は完結します。
これらの仕訳では、当期の損益は変化しません。
- 売掛金の解消仕訳
預金 / 売掛金 300,000
- 買掛金の解消仕訳
買掛金 / 預金 200,000
未収金、未払金も同様に解消してください。
売掛金・買掛金と未収金・未払金は会計的には同じ内容ですが、売掛金・買掛金は商品に関するときに使われています。
資産の移動に関する仕訳
資産の移動に関係する仕訳です。例えば、預金を引き出して現金に変えたり、自動車などの備品を購入したときです。
これらの仕訳では、当期の損益は変化しません。
- 売上などの現金を預金する仕訳
預金 / 現金 50,000
- 手持ちの現金が減少したので預金を引き出す。
現金 / 預金 30,000
- 車両を購入して預金で支払った。
車両 / 預金 250,000
負債の移動(発生や解消)した時の仕訳
流動負債では預り金の解消や、固定資産では借入金の発生や借入金の返済などがあります。
これらの仕訳では、当期の損益は変わりません。
- 所得税の預り金
現金預金 / 預り金(所得税) 10,000
預り金の支払
預り金(所得税) / 現金預金 10,000
- 借入金の発生
預金 / 借入金 1,000,000
借入金の返済
借入金 / 預金 200,000
借入金利息 / 預金 10,000
借入金の返済時には、元金部分と利息を分けてください。利息部分は、当年度の損益に反映します。
事業主貸・事業主借に係る仕訳
家計と事業との間の取引は、同一の個人であるために、次のような仕訳が必要になることがあります。
- 事業主貸は、「事業主に貸す」
- 事業主借は、「事業主から借りる」
このように理解するとわかりやすくなると思います。
なお、通常の「貸し借り」は必ず返済されることが原則となりますが、この事業主貸、事業主借は唯一例外の返済が必要ない取引科目です。(ただし、次年度の期首で、清算して元入金で調整します。)
- 家計は、毎月の生活費を事業主から借りて生活している。
現金預金 / 事業主借 300,000
- 事業用の商品を食事に使った。
事業主貸 / 売上(自家消費等) 3,000
- 毎月の電気代は”事業”から支払っているので、年度末に一年分を按分して家事分を戻した。
事業主貸 / 光熱水費 200,000
- 毎月の電気代を家計費で支払っているので、年度末に一年分を按分して経費計上した。
光熱水費 / 事業主借 200,000
年度末に必要な仕訳
年度末に決算整理として行う仕訳は次のようなものがあります。
- 減価償却費の計上
減価償却費 / 建物 500,000
- 棚卸資産の計上
棚卸資産 / 期末商品棚卸高 2,000,000
次年度の機種では次の仕訳が必要です。
期首商品棚卸高 / 棚卸高 2,000,000
- 売掛金が回収できなくなった。
貸倒金 / 売掛金 50,000