複式簿記と単式簿記の違いと複式簿記の利点
シンシステムデザイン
単式簿記と複式簿記の違いは?
今月は、給与による収入が30万円と借入金による収入が20万円ありました。
- 家計簿(単式簿記)をつけているAさんは、40万円を生活費に使っても財布にはまだ10万円残ると考えて、40万円を生活費に使いました。
- 複式簿記の仕組みを知っているBさんは、借入金は負債なので、生活費には28万円しか使いませんでした。
補足) 給与による30万円の資産があるので、資産合計は50万円ですが、生活費として28万円使用しているので、現在の資産は 50 - 28 =
22万円
- この違いこそが、単式簿記と複式簿記の決定的な違です。
- 単式簿記は、収入と支出を計算するので、借入金も収入になります。
- 複式簿記は、益金と損金を計算するので、借入金は益金ではありません。
借入金は負債になります。
複式簿記の仕組み
- 複式簿記で会計処理を行うと、次の二つの計算書類が出来ます。
- 貸借対照表
- 資産 現金・預金・売掛金・固定資産などを資産と云います。
- 負債 借入金など他人から預かった資産を負債と云います。
- 元入金 自分が事業のために用意した資産を元入金(資本金)と云います。
- 現在の資産と(負債+元入金)の差が今年度に増加した資産(利益)となります。
これらの関係は、次のようになり左右が等しくなります。
資産 = 負債 + 元入金 + 今年の利益
- 損益計算書
- 売上 今年の事業活動で得られた収入を売上と云います。
- 経費 今年の事業活動に要した支出を経費と云います。
- 売上と経費の差が今年度の利益になります。
これらの関係は、次のようになります。
今年度の利益 = 売上 - 経費
- このような仕組みであるので、複式簿記は、
損益計算書からは、売上、経費、今年の損益が分かり、
貸借対照表からは、資産、負債、元入金と今年度に増減した資産などが把握できます。
そのため、複式簿記は税務目的はもちろんのこと、次のようなメリットがあります。
複式簿記では不正経理が出来ない仕組み
税務署では、数々の特典を用意して”複式簿記”による会計を推奨しています。
その理由は、適正な会計処理が保証されるからです。
- 事業を行うと、時々税務調査があります。その際に税務署が知りたいことは、次の2点です。
①は意図的でない限り計算ミス、転記ミス等は誰でも起こり得ることで、通常は修正申告で解決します。
②は、脱税行為と見なされて、場合によっては加算税などが待ち受けています。
- 複式簿記は、次のような仕組みにより、②の問題が容易にわかるようになっています。
資産・負債は過去からの連続性がありますので、勝手に都合よく金額を変えることが出来ません。
そこで、貸借対照表に記載された資産・負債と、実在する資産・負債を照合すると、次のようになります。
- このように、不正経理が難しい仕組みが複式簿記にありますので、複式簿記で会計処理を行なうと、高い信頼性が保証されそのため多くの特典が与えられます。
これに対して、単式簿記では当年度の収入と支出の把握のみでありますので、このような仕組みがありません。