退職共済預け金に関わる仕訳について


有限会社シンシステムデザイン


おもな留意点

  • 退職共済の退職金は法的な退職制度ではないために、退職共済から退職者に直接退職金が支給されると、退職金ではなく一時所得とみなされる危険があります。
    そのため退職共済への拠出金は“資産”と“引当金”に計上して、退職時に法人を通して退職金が支払われるような会計処理がおこなわれています。

  • 上記の理由により、多くの社会福祉法人では、貸借対照表に計上する「退職共済預け金」と「退職給与引当金」は同額計上をおこない、退職時に実際に支払われる退職金と引当金の差額を「雑費」または「雑収入」で清算する会計処理が行われています。
    しかし、一部の県では、時価会計で指導されているところもあります。この場合は、「退職共済預け金」と「退職給与引当金」は通常異なりますので注意してください。

  • 以上のように二つの考え方がありますが、ここでは積立時は同額計上して、退職金の支給時に清算する方法を説明します。



仕訳に関係する科目


  • 社会福祉法人会計には次の科目が用意されています。これらの科目を使ったの仕訳になります。

    借方 貸方
    貸借対照表 退職共済預け金 退職給与引当金
    事業活動収支計算書 退職金
    退職給与引当金繰入
    退職給与引当金戻入
    資金収支計算書 退職金支出
    退職共済預け金支出
    退職共済預け金収入




預け金を拠出する時の仕訳
  • 退職給与引当金と退職共済預け金を計上するときの仕訳

    @ 退職給与引当金繰入    100  /  退職給与引当金  100
    A 退職共済預け金       100  /  現金預金       100

    この仕訳により財務表はそれぞれ次のようになります。

    借方 貸方
    貸借対照表 現金          △100
    退職共済預け金    100
    退職給与引当金      100
    繰越活動収支差額   △100
    事業活動収支計算書 退職給与引当金繰入  100
    繰越活動収支差額  △100
    資金収支計算書 退職共済預け金支出  100
    支払資金        △100



退職金を支給する時の仕訳

  • 預け金よりも支給額が多い場合

    @ 退職給与引当金  100  /  退職給与引当金戻入  100
    A 現金預金      100  /  退職共済預け金     100
    B 現金預金       20  /  雑収入            20
    C 退職金        120  /   現金預金         120

    この仕訳により財務表は次のようになります。
    借方 貸方
    貸借対照表 退職共済預け金   △100 退職給与引当金    △100
    事業活動収支計算書 退職金           120 退職共済引当金戻入  100
    雑収入            20
    資金収支計算書 退職金支出        120
    退職共済預け金収入   100
    雑収入            20



  • 預け金よりも退職金が少ない場合

    @ 退職給与引当金  100  /  退職給与引当金戻入  100
    A 現金預金       80  /  退職共済預け金      80
    B 雑費          20  /  退職共済預け金      20
    C 退職金         80  /   現金預金          80

    この仕訳により財務表は次のようになります。
    借方 貸方
    貸借対照表 退職共済預け金   △100 退職給与引当金    △100
    事業活動収支計算書 退職金           80
    雑費             20
    退職給与引当金戻入   100
    資金収支計算書 退職金支出        120
    退職共済預け金収入   100
    雑収入            20